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旭川市民劇場
旭川市民劇場とは2012年上演作品・過去の上演作品入会のご案内事務局
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第回 [PR](2024.04.25)


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第2回 高野菜々さん・小林啓也さんインタビュー(中編)(2012.03.03)




2012年2月例会「シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ」主演・[折口佳代]役の高野菜々さんと[三浦悠介]役の小林啓也さんへのインタビュー。チーフプロデューサーである石川聖子さんも同席してくださいました。

「観るプロ」とミュージカル

小林 啓也(こばやし けいや)
1987年東京都生まれ。2010年9月より音楽座ミュージカル/Rカンパニーに参加。
───今回の、市民演劇鑑賞団体を回る公演と、普段の公演とで、
なにか「違うな」と感じるところはありますか。
小林
僕は、そんなに違いはない…と感じます。
たとえば、終演後に僕たちがロビーに出て、お客さんと握手して、
いわゆる「客出し」(終演後に役者が客をロビーで見送ること)をして、
一人一人のお客さんと、ちょっとずつですけど話したり。
その場で、厳しい意見をパッて云ってくれる人もいて。
あんまり違いはないかな、と思ったんですけど。
高野
私、すごい違う。違うね、やっぱね。
小林
どんなふうに?
高野
私は……、お母さんがいっぱい!って感じ。
終わった後、みんな「わーっ、佳代ちゃーん!!」
(ターッと走ってきて高野さんを抱きしめる)みたいな。
小林
あー!演鑑の方たちって、みんなのひとつになってるエネルギーの感じが違うね、やっぱり。観てるときの集中度もそうだけど、エネルギー感が全然違う。
高野
あったかい!って感じちゃう。
もう、早くロビーに出たい!みんなに会いたい!!って。
小林
演鑑は、みなさんやっぱり舞台が好きだから来ている方たちだと思うので、そういう方たちに観ていただけるのは、嬉しいです。
石川
観る方のプロですもんね、みなさん。

高野 菜々(こうの なな)
1989年広島県生まれ。2008年6月より音楽座ミュージカル/Rカンパニーに参加。

高野
こんなにあったかく出迎えてくださってるんだから、
絶対いいお芝居にしよう!!って気持ちになる。
だから本当に、相乗効果だなって思います。
───あの、これは素人考えで、聞きにくい質問でもあるのですが…
ミュージカルに特有の、お芝居から「突然歌い出す」感じ、ありますよね。
あれは、どのように意識なさっていますか。
小林
うーん……、あんまり。
たとえば、楽しいことがあって、ついつい路上を歩きながら歌を口ずさんじゃうとか、そういうのと全く変わらないことだと…いや、もちろん色んな解釈はあると思うんですけど…。

気持ちが昂ぶったり、嬉しいことや悲しいこと、怒り、そういうものがあったときに、メロディがあって、それについのっちゃう・歌が出ちゃうっていう…。いろんな条件・状況はあると思うけれど、僕はたぶん、そういうことだと思いますね。

僕も最初、ミュージカルって正直ちょっと「な、な、…ない!」と思ってたんです。ちょっとおかしいなぁ、まともに見れないな、と思ってた。
単に、そういうミュージカルしか観ていなかったということなのかもしれないんですけど。
そう…まさにショー、ブロードウェイみたいなブワーッと華やかに魅せるミュージカルもあるし、もっと自然な音楽劇……ストレートの中で気持ちが昂ぶったところで歌が出たり、普通に口ずさむように歌ったりだとか、
一口に「ミュージカル」と云っても色々なものがありますから。
高野
なんか、音楽座が、ちょっと違うよね。
私はずっとミュージカルが好きでストレートプレイは観てこなかったんですけど、ミュージカルの中でも、音楽座はお芝居が…、お芝居っていうか、気持ちの流れが自然だから。
曲が浮かないっていうんですかね。

たまに、台詞が「~~~!」ジャーン!(と曲のイントロが入って)バッ!(世界に浸り歌い始める)っていう、こう、急に来んのかーい!!(笑)みたいな、
「ウッ…。アー…歌ね…」(辟易)となるものもある。
「歌を聴かせる集団」って云ったらおかしいかもしれないけど、ミュージカルの劇団にはけっこうそういうところが多いかな、と私は観る中で思っていたんです。けど、関西オーディションの次の日に「リトルプリンス」を観て、ああ、ここ(音楽座)は気持ちの流れがしっかりしてるところだから、いいな!って思って。
音楽座は、お芝居の土台がすごくちゃんとしてるから、歌に行っても別に「アー…」(辟易)とはならなくて、
そのままずーっと吸い込まれていく感覚があった。そこが、いいなぁって。
小林
本当に、台本ありきだと思います。
自分でどうするかっていうよりも、もう台本がそういうふうに出来ているから、そこにフッと自分が役として乗っかれたら、いちばん無理なく……流れて行けると思いますね。
石川
一番気にしてるとこだから。
音楽監督の高田と一緒に組んで、どの作品についても徹底しているのは、いかにナチュラルに、
どうやって心の動きがそのまま歌やダンスになるように音楽を作っていくかで。
それには、すごくテクニックがいるんですね。そのナチュラルさはもうマスト(絶対に必要)で、
それがなかったらミュージカルやりたくないんです。
洗練されてないと嫌なんです。
そういうところで、どうやって先に音(音楽)が入り、あるいは、どうやって先に歌がちょっと入って音がついてくればナチュラルになるか。そこらへんは、ものすごい工夫しますよね。観ていて「ハイハイハイ(辟易)」ってならないようなものを作らないと、それは、音楽座のミュージカルとしては絶対出したくない。
───なるほど。しかし、それだけ脚本や音楽がしっかりしているということは、
役者さんに要求されるもののレベルも…
高野
ヒェー…!!
そうなんです…。もう、大変ですね(苦笑)
小林
笑えないです。
もう…そんな…ね、そんな、そんな…(暗)
高野
啓也くん、今回初めてなんですよね、主役が。
小林
ええ(表情に明るさが戻る)。
僕も今まで、音楽座ミュージカルの中でいろんな役で関わらせていただいたり、名前付きでメインに関わるような役もやらせていただいたりしてたんですが、たまたま前回、大阪での「アイ・ラブ・坊っちゃん」で、主役のかわりにゲネプロ…本番前のリハーサルを、代役としてやらせていただいたんですね。
もともと、主役の体調が少し危なかったので、もしかしたら…ってところで、リハーサルではあるんですが、僕がやらせていただいたんです。

その場所に立った時に、自分がやってきたこととか考えてることと、周りで起きてる状況が、全然違っていて。自分にとっては未知の……本当に、未知の領域だったので、そのとき、今までの自分の気持ちや考えが少し変わった。もっとやろう、もっと前に前に、という気持ちに、すごくなった。

今回、初めての主演でこれだけ色んなところに行き、これだけの回数をやるということで、回数をこなすには?回数をこなしながら毎回毎回新鮮にやるためには?と、課題がたくさんあって。
それは、僕個人のスキルとしてもそうだし、作品全体をどうとらえるのか、ということも問われる。
…特にこうやって、色んなところで期間の短い公演を行うっていうのは、
日々問われることだな、と感じますね。

あと、これはある種余談なんですけど、この公演を経たら、
前にやった役をもう一回やりたいな、と思ったりするんですよ。
───きっと自分が、一回り成長していると?
小林
いや、今の自分なら、どういうふうにやるんだろう?って。
今までちょっとないがしろにとらえてたり、関わり方が違っていたものを、今やったらどうなるんだろう?どんな感じになるんだろう?っていう。まだまだ全然先の話なんですけど。
今はもちろん、これ(「シャボン玉…」)なんですけどね。


「今」がないと「先」もない


───憧れの存在、この人のようになりたいという存在は、今いますか。
石川
彼女(高野さん)あたり、将来は経営者になってるかもしれない(笑)。
小林
「ちょっと、あなたッ!」(女性重役っぽい演技)
高野
赤いメガネかけて(笑)。
そうですね…高校生の時は、新妻聖子さんに対して、心から「あの人みたいになりたい!」って思って。
今こうして同じ土俵に立てるようになって、同じ「マドモアゼルモーツァルト」の主演をつとめて……
色んなご縁を作ってくださった、本当に大切な方です。
でも、憧れの存在とか女優さんていうのは、今の私にはいなくて。

音楽座に入って、すごい変わったんです。そういう、ものの見方みたいなものが。
○○さんみたいになりたい!とか…私が目指しているのは、きっと、そういうところじゃないんだなって。
「もしかしたらこれ、あたし、夢がないのかな?」って一時期はすごく悩んだりもしたんですけど、
「ああ、そういうことじゃないな」って気づいた。
今は、役の[折口佳代]に、日常、近づけたらいいな、ってことしかなくて。
すごい好きなんですよ、私。この作品も、佳代の生きざまも、ものすごく憧れるっていうか…。
目の前の光に向かって、自分の足で進んでく子だなと思うし、深い思いやりもある。だから、高野菜々自身が[佳代]に近づけたらいいなっていうのが、今は……。
小林
僕も…、憧れというか、この人のこういうところはいいな、こういうふうにやれたらな、という意味ではたくさんあるんですけど、あの人になりたい!というのは、実は昔からそんなになくて…。
───マイケル・ジャクソンは小林さんの中ではどんな位置を占めるのでしょう。
小林
それは…!!それはもう、僕にとっては…僕にとっては、もう!!
高野
神でしょ(笑)。
小林
なんでこういう世界を目指したかって、それは、大モトのモトを探ればマイケル・ジャクソンになるんです。
本当僕、4歳とか、生まれてすぐくらいから、親が録ってたマイケルのビデオを、すり切れるくらい見てた。僕が生まれた1987年は横浜スタジアムBad tourっていうのがあって、まさにドンピシャなんですよね。
だから、ポンキッキの「はたらくくるま」とそのマイケルのビデオとをすり切れるくらい見て、世の中の同世代たちが熱狂してた戦隊ヒーローとかには、全く興味がなくて。
あんなの面白くない!マイケル・ジャクソンだ!!っつって(笑)。
だからそういう意味では、マイケルの考え方やアクター(表現者)としてのマイケルをすごく尊敬してるし、僕の中では絶対、ずっとあるものですね。

でも、今は(高野さんと)同じように、自分がどのくらい役と一緒にやって行けるかっていう方が大きくて。いただいた役と、自分が、今これからどうすべきか、っていうことが、中心にありますね。
もちろん、具体的に「五年後、どういうふうになりたい」とか「もう少し上手くなってたい」とか、そういうのはあるんですけど…あるんですけど…、やっぱり「今」がないと「先」はないので。
それは日々……日々日々、その繰り返しでしかない。

順調に行くこと、全然ないんですよ。大体、僕、自分でコケるんです(笑)。
ハッて抜けちゃったりとか、人に迷惑かけちゃったり。それでもなんとかあきらめないでやって行く中で、応援してくれる家族だったり親友だったりメンバーの人が、「啓也のことが好きだよ」って云ってくれる。
そういうことだけで続けられてるという部分が、実際……実は、あるから。

でも、これからどれだけ親に親孝行できるのかな、っていうのは、あったり。
なかなか、全然してあげられてないので…そういうとこが、実はちょっと……考えちゃったりします。
───お母さまは小林さんの舞台での活躍をご覧になっているのですか。
小林
はい。東京とかで。
石川
お母さん、啓也にソックリだよね。
小林
ああもうソックリです、もう!そのままこう(髪を両手で押さえて)オールバックにしたら。
石川
(小林さんを指さして)このまんま、女性にしたような。
高野
私もびっくりしました。「あっ、啓也だ!」って(笑)。
小林
母は、今もう50…60なんですけど、社交ダンスやってて。「私、今、人生最高。」って云ってる人なんです。
そんな人がいるのに、24とか25とかで自分がこんなんなってちゃだめだなって。
あの人「私、生まれ変わったら宝塚。」って云ってるから。決めてるから、もう。来世は宝塚!って。
高野
すごいね。すごい、元気もらえるね。
小林
うん、もらえる。
───そういう、自分を強くインスパイアしてくれる人が身近にいるというのは、ありがたいですね。
小林
自分のもともとの考えは親が作ってくれた、っていうのは、絶対あると思います。
いいところも悪いところも、全部、親が作ってくれた。
あとは、自分がどれだけそれを深められるか・変えられるか、っていうことだと思いますね。


(インタビュー後編につづく)


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